名古屋ペインクリニック|免疫療法
名古屋麻酔科クリニック・免疫療法について
1.硬膜外ブロック

硬膜外ブロックの適応は幅広く、顔面以外の多くの疼痛疾患(帯状疱疹、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、末梢血行障害、CRPS、がん性疼痛、他多数)に用いられる。
背中、腰部から脊髄近くまで針を刺し、局所麻酔薬やステロイド薬を注入する(それ程痛くはありません)。それにより知覚神経と交感神経がブロックされ、脊髄分節性に除痛、血行改善、筋弛緩が得られる。痛みの軽減により慢性的な痛みの悪循環が断ち切れ、今後の日常生活での活動に改善が期待できる。
またステロイド薬の効果により、神経周囲の腫れが軽減され、神経周囲組織の血流改善さらには神経組織障害の改善が考えられる。

2.星状神経節ブロック

頭頚部、顔面、上肢、上胸部に痛みのある疾患、末梢循環障害などに有効である。その他にも、全身性に自律神経系疾患、心身症、代謝性疾患、内分泌系疾患、免疫系疾患とさまざまなものに効果が期待できる。
交感神経を遮断するので、その支配領域の血流は確実に改善される。また、視床下部の恒常性維持機能を賦活するとも考えられ、自律神経系、内分泌系、免疫系の是正にも関与している。

3.トリガーポイント注射

筋・筋膜性痛症候群や筋の緊張により痛みがある場合などに用いられる。
トリガーポイントブロックにより痛みの悪循環を不活性化させるとともに、局所の血流を改善し、筋緊張を和らげ、侵害受容体の感作に関与するプロスタグランジンなどを希釈して洗い流すなどを目的としている。

4.筋膜リリース注射 ハイドロリリース

筋筋膜等痛症候群(myofascial pain syndrome: MPS)では、筋肉に硬いしこりやスパスムが存在し過敏な痛みを生じる。硬結付近に圧痛点がありトリガーポイントと呼ばれる。トリガーポイントで出現する痛みは、筋内にある痛覚線維の過敏化によるとされ、ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジン、セロトニンなどが誘因物質とされる。その誘因物質に対する感覚受容器は筋線維ではなく、筋膜や細動脈周囲、筋腱接合部に存在する。

以上を踏まえ、MPSの治療はトリガーポイントにおける出来上がった痛み構造を解除することにある。
トリガーポイント注射:トリガーポイントに局所麻酔薬を注入する。痛みの悪循環を不活性化させるとともに、局所の血流を改善し、筋緊張を和らげ、誘因物質の洗い出しなどを目的としている。
筋膜リリース注射:トリガーポイントにおける筋膜や筋膜間に薬液を注入し、誘因物質の洗い出しなどを行う。主にエコーガイド下に行われる。

相違点

トリガーポイント注射も針先の感覚で(エコーは使いませんが)筋膜に薬液注入をしているので、表層にある筋膜では筋膜リリース注射と内容的にはあまり変わりないと思います。しかしエコー画像での確認できないので、筋膜や筋膜間に的確な注入されているとは言えません。ただ、筋膜に必ず注入されないと効果がないかというと、そうとも言えず、筋肉内や脂肪組織内に注入された場合でも、質は違っても効果はあります。
エコー画像を見ながら行う筋膜リリース注射では、奥の方にあるトリガーポイントを確実に狙うことができる利点はあります。筋肉が2層、3層となっている部位で、深部層の筋膜にトリガーポイントが存在した場合、トリガーポイントブロックでは、その針先の感覚だけでは奥にある筋膜を触知することは難しく、筋膜間への注入は困難となります。

手技的には異なり、一瞬で終わるトリガーポイント注射と比べ、エコーガイドに行われる筋膜リリース注射では針先進入や薬液注入を確認しながら行われるので、多少実施に時間がかかります。画像で確認できるので適正注入としての確実性はありますが、時間がかかりそれにより気持ち悪くなるなどの訴え(長時間の緊張のため、迷走神経反射?)を起こすこともあり得ます。

両方とも受けた患者さんの評価でも、トリガー注射のほうが良かった、筋膜リリース注射のほうが長持ちしたなど、それぞれ好みがあるようです。

痛みのポイントから考えられる筋肉の種類

1.僧帽筋など

2.頭板状筋など

3.頭半棘筋など

4.肩甲挙筋など

5.小菱形筋など

6.大菱形筋など

7.棘上筋など

5.上腕二頭筋長頭腱(LHB)注射 :エコーガイド下

五十肩(肩関節周囲炎)の原因の一つとして上腕二頭筋長頭腱の炎症が挙げられ、肩の全面(結節間溝部)に圧痛があるときは、それ由来と考えられている。一方、前面の圧痛に関わらず、五十肩の痛みのほとんどがLHBの炎症由来であるという意見もあり、当院でもそれに則り、五十肩と思われる肩の痛み全例にLHB注射を行っている。経過は極めて良好といえる。

6.肩峰下滑液包内(SAB)ヒアルロン酸注入 :エコーガイド下

肩関節は上腕骨大結節が肩峰下に滑り込むことで円滑に挙上されるが、棘上筋炎などの肩板異常、肩峰下滑液包炎などにより強い痛みと肩関節外転障害が生じる。肩峰下滑液包内にヒアルロン酸や局所麻酔薬を注入ことで可動性の改善と疼痛軽減が期待できる。エコーガイドなしでも実施されるが不正確なこともあり、エコーを見ながら針先を誘導すれば確実に滑液包内に注入できる。

7.浅頚神経叢ブロック :エコーガイド下

浅神経叢とは、耳後下部~側頚部~下顎あたりを支配する神経の小後頭神経、大耳介神経、頚横神経、鎖骨上神経がそれぞれ皮下まで出てきたものの総称である。そこを神経ブロックすることで、その周囲の表在性の痛みを軽減させることができる。
首の横の張りが取れない、耳の後ろの緊張型頭痛、頚部全般の筋性の痛みなどに用いられる。エコーガイドなしでこのブロックを行うと不正確なことが多く、エコーを見ながら針先を誘導すれば確実に注入できる。

8.後頭神経ブロック

後頭部領域のあらゆる痛みに対して効果が期待できる。とくに緊張型頭痛など非常に有効なことが多い。他にも頸肩腕症候群や外傷後頚部症候群、頚椎症などにも有効なことがある。また、頭頚部外傷後に生じためまいに有効であるという報告もある。 刺入部からの出血をしやすいくらいで、大きな合併症は考えられない。

9.三叉神経末梢枝ブロック

顔面の知覚は三叉神経によって支配されている。その三叉神経は左右3枝に分かれ、それぞれ①眼から上の領域、②眼と口の間、③口から下の下顎領域、と大体分担されている。そのいずれかの領域に神経痛が出現することがあり(帯状疱疹や神経が血管に圧迫されるなど)、その領域に対する神経ブロックが痛み軽減に有効なことが多い。

10.肩甲上神経ブロック

肩甲上神経とは、肩甲骨の上部に位置しており、肩関節およびその周辺への豊富な知覚神経を有するため、肩関節部の痛みの伝達、発生に大きく関与している。 局所麻酔10ml程度の注入、ときにステロイド液を添加することにより、肩関節やその周辺の痛みが緩和されることが期待できる。

11.肋間神経ブロック

肋間神経ブロックでは、胸神経前枝である肋間神経が肋骨下縁で走行する空間に局所麻酔や神経破壊薬を注入することで、胸腹部や背部の痛みを緩和することが期待できる。

12.椎間関節ブロック

椎間関節とは、脊椎の背側にある上下の椎体をつないでいる滑液関節である。三次元的に曲面を描いた複雑な構造をしており、脊椎の前方転位や回転転位を予防していることもあり、体幹の動きに伴いさまざまな体重ストレスを受け、ぎっくり腰などはじめ障害されやすい箇所でもある。
神経支配は、主に上下からの後枝内側枝より分布されている。椎間関節自体に直接針を何度も入れることで関節に障害を与え、症状を悪化させることになり兼ねない。その代わりに後枝内側枝をブロックすることで、椎間関節ブロックと同様の効果が得られる。

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